OpenFrameによるマイグレーション
本章では、メインフレームのアプリケーション、リソース、データセット、およびデータベースをOpenFrameを利用してマイグレーションする方法について説明します。
1. リソース・マイグレーション
リソースとはOpenFrameシステムで使用されるすべてのリソースを意味し、データセット、ADL、JCLなど、広範に及びます。
リソース・マイグレーションは、メインフレームで運用されている業務システムで使用するJCL、ADLなどのユーザー・リソースをOpenFrameで使用できるように移行する作業です。作業前にメインフレームからEBCDIC(JEF)データをダウンロードする必要があります。
通常、リソース・マイグレーションは以下のプロセスで実行されます。

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EBCDIC(JEF)リソースをASCII(Shift-JIS)リソースに変換します。
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OpenFrameで運用できるようにインポートします。
以下はリソース・マイグレーションの手順です。
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EBCDICからASCIIに変換
OpenFrameマイグレーションの手順はリソース・タイプによって異なります。ただし、EBCDIC(JEF)コードで作成されたリソースをASCII(Shit-JIS)コードに変換する作業はすべてのリソースのマイグレーション・プロセスで同一に適用されます。
コードの変換は富士通メインフレームの文字セットとオープン環境の文字セットが異なるため生じる作業であり、リホストのためのマイグレーション・プロセスでは必須の作業です。
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PSAM画面定義フォーマットのマイグレーション
PSAM機能を使用するAIMアプリケーション・プログラムをOpenFrame AIMに移行するときは、AIMアプリケーション・プログラムで使用するPSAM画面定義情報が一緒に移行しなければなりません。
OpenFrame AIMシステムでは富士通AIMで使用していたPSAM画面定義のランタイム・バイナリー・オブジェクト・ファイルをそのまま使用できないため、PSAM画面定義ソースコードをEBCDICからASCIIに変換した後、OpenFrame AIMで提供するPSAMコンパイラーでコンパイルして使用する必要があります。
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ADL - AIM定義リソースのマイグレーション
AIMアプリケーションは既存のメインフレーム環境でAIMシステムが提供するターミナル、画面定義、データセット、データベースなどのリソースを利用するプログラムです。これらのリソースはAIMアプリケーションの実行前に、管理者によってADL構文を使用して事前に準備されている必要があります。
同様に、OpenFrame AIM環境にマイグレーションしたAIMアプリケーションが正常に動作するには、既存のAIMシステムで使用していたADLをマイグレーションし、OpenFrame AIMシステムに適用する必要があります。OpenFrame AIMは既存のメインフレームのADLをASCIIコードに変換するだけでそのまま使用できます。
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JCLマイグレーション
JCLマイグレーションは、既存のメインフレームのJES環境で実行されるJCLをダウンロードして、メインフレームで使用されていたEBCDICコード基盤のJCLファイルをOpenFrameで使用するASCIIコード基盤に変換することを意味します。つまり、既存のJCLソースを修正せずに、OpenFrameのTJES環境でJCLを実行できるようにします。
2. データセット・マイグレーション
データセットとは論理的につながっているデータ・レコードの集合です。ここでいうレコードは、アプリケーションで使用される情報の基本単位です。データセットはその種類によって大きく非VSAMデータセットとVSAMデータセットに区分します。
データセット・マイグレーションは、メインフレームで使用していたデータセットをOpenFrameで使用できるように移行する作業です。作業前にメインフレームからEBCDIC(JEF)データをダウンロードする必要があります。
データセットの詳細については、OpenFrame Base『データセットガイド』を参照してください。 |
データセット・マイグレーションは以下の手順で実行されます。

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データセットのスキーマを保存しているEBCDIC(JEF)リソースをASCII(Shift-JIS)リソースに変換します。
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変換されたASCIIリソースを利用してデータセット・スキーマを取り出します。
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OpenFrameで運用できるように、EBCDICデータセットを変換(convert)およびインポートします。
メインフレームで運用されていたデータセットをOpenFrameでそのまま運用するには、データセットの移行作業が必要です。データセットの移行方法は、以下のようなデータセットのタイプによって異なります。
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非VSAMデータセット
非VSAMデータセットのPDS、GDG、SAM、ISAMデータセットを移行します。
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VSAMデータセット
VSAMデータセットのKSDS、ESDS、RRDS、LDSデータセットを移行します。
上記の方法で移行できないデータセットは、別途のデータセット・インポート・プログラムを作成して移行する必要があります。データセットの途中で抜けたレコード番号があるVSAM RRDSデータセットがこれに当たります。
3. アプリケーション・マイグレーション
OpenFrameの自動化されたツールを利用し、メインフレーム環境で実行されるほとんどのアプリケーションをマイグレーションすることができます。アプリケーション・マイグレーションは、AIMアプリケーション・プログラム、バッチ・アプリケーション・プログラムなどをOpenFrameで使用できるように移行する作業です。マイグレーションの際に、メインフレームからダウンロードした、EBCDIC(JEF)コードで作成されたアプリケーション・プログラム・ソースが必要です。
アプリケーション・マイグレーションは以下の手順で実行されます。

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EBCDIC(JEF)アプリケーション・ソースをASCII(Shift-JIS)アプリケーション・ソースに変換します。
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変換されたASCIIアプリケーション・ソースをコンパイルしてランタイム・オブジェクトを作成します。
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OpenFrameで運用できるようにデプロイします。
OpenFrameで提供するアプリケーション・マイグレーション・ソリューションは、AIMおよびバッチ・アプリケーションに適用できます。
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AIMアプリケーション・マイグレーション
既存のAIMシステムで動作していたアプリケーション・プログラムをOpenFrame AIMで起動するには、マイグレーションが必要です。マイグレーションは基本的にEBCDIC文字で作成されたプログラム・ソースをASCII文字に変換するプロセスから始まります。それ以降のプロセスは、UNIX環境での一般的なアプリケーション・プログラムのコンパイルおよびデプロイ・プロセスに従います。
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バッチ・アプリケーション・マイグレーション
バッチ・アプリケーションのマイグレーションとは、メインフレームで利用していたバッチ・アプリケーションをOpenFrameで起動できるようにアプリケーション・ソースを変換する前処理プロセスとコンパイル作業を意味します。バッチ・アプリケーションのマイグレーションも、プログラム・ソース・ファイルの文字コード変換作業を除けば、一般的なアプリケーションのコンパイルやデプロイ・プロセスと同じです。
OpenFrame環境にマイグレーションされたアプリケーションの実行時に必要なライブラリー関数とサービスは、アプリケーションのタイプによって、OpenFrame AIM、OpenFrame Batch、OpenFrame Baseシステムによって提供されます。
4. データベース・マイグレーション
データベース・マイグレーションには、AIM/DBマイグレーションとRDBマイグレーションがあります。本節ではAIM/DBマイグレーションの手順について説明します。
AIM/DBマイグレーションの実行は、OpenFrame NDB変換ツールによりシステム的に処理されます。マイグレーション・マネージャーは、例外状況の変換処理をサポートします。
データベース・マイグレーションでは、まずメインフレームのAIM/DBの内容を分析してマイグレーションが必要なデータを分析します。それからJCLやツールを使用してデータをアンロードした後、OpenFrameシステムにデータを転送します。転送されたデータをLOADユーティリティーを利用してデータベースにインポートした後、チューニングや検証プロセスなどを行ってから使用することになります。
以下は、AIM/DBデータを移行する手順です。
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AIM/DBのデータベース・スキーマをOpenFrame AIMにマイグレーションします。これはADLの一種類であり、ADLリソース・マイグレーションの方法を参照してください。
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AIM/DBデータをアンロードしたファイルをダウンロードします。EBCDICコードで作成されたデータであるため、ASCIIコードに変換する必要があります。ndbgenschツールを利用して、変換に必要な変換スキーマ(conversion schema)を作成します。
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前項で取得した変換スキーマをベースに、OpenFrame Baseのdsmiginツールを実行して、AIM/DBデータをアンロードしたファイルをOpenFrame NDBのロード用の入力として使用できるよう(ASCIIコードを使用するよう)に変換します。
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ndbmgrを用いてデータベース・テーブルを定義し初期化を行った後、ndbimportツールを用いてOpenFrame NDBにデータをインポートします。
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