OpenFrame Batchの紹介

本章では、OpenFrame Batchシステムの特徴について説明します。

1. 概要

OpenFrame Batch(以下、Batch)システムは、JCLで作成されたジョブを実行するためのシステムです。メインフレームで実行されていたバッチ・ジョブをオープン・システムでもそのまま実行できるTJES環境を提供します。

TJESシステムは、バッチジョブを実行し、複数のジョブを管理するために必要なジョブ単位のスケジューリングと、それらのジョブが生成する出力を管理するシステムです。 バッチシステムとTJESシステムを同一の概念と捉えることが多いですが、バッチシステムの方がTJESシステムよりも広義の意味を持っています。

Batchシステムは、TJES、ユーティリティ、ツールで構成されます。

  • TJES

  • ユーティリティ

    • データセットの作成、変更、削除

    • データのロードとアンロード

    • サードパーティー・ユーティリティとの連携

  • ツール

    • TJESシステムの初期設定

    • 運用の利便性

たとえば、毎月銀行の顧客の利子を計算し、それぞれの顧客口座に反映させるバッチジョブの場合、次のような処理が行われます。

  1. データベースにある顧客の口座情報を抽出します。

  2. 該当するデータをソートして利子を計算します。

  3. ジョブ内容をデータベースに反映します。

このような処理を行うためには、基本的なTJESシステムの機能に加えて、データベースからデータをロード/アンロードするユーティリティや、データのソート処理に必要なSORTユーティリティが必要となります。

2. 特徴

Batchシステムの最大の特徴は、メインフレームで動作していたバッチ・ジョブを、クライアントのビジネス・ロジックを変更せずにオープン・システム環境で実行できるということです。すなわち、メインフレーム上で実行していたアプリケーション・プログラムを変更することなく、オープン・システム環境で実行することができます。そのほかにも、以下のような特徴があります。

  • 再開発と比べてはるかに低コストで、同じバッチジョブを実行できます。

  • 以前メインフレームでサポートしていたデータセット、NDB、RACF認証およびアクセス権限のチェック機能などをBatchまたはその他のシステムが提供するため、再開発に伴うリスクを軽減することができます。

  • UNIXシステムへの移行により、UNIXシステムが提供する多様なアプリケーションを使用することができるため、新しいバッチ・ジョブの開発が容易になります。

  • 複数のUNIXサーバーを1つのBatchシステムのように使用できるため、分散処理環境を簡単に構築することができます。

  • 優れた安定性と障害対策を持つTPモニターのTmax®(以下、Tmax)をベースにして開発されているため、データベースやハードウェアに障害が発生しても、フェイルオーバー機能により、バッチ・ジョブの実行には影響を与えません。