紹介

本章では、富士通メインフレームのXSPまたはMSPシステムに対応するリホスト・ソリューションのOpenFrameのマイグレーション機能を紹介します。マイグレーション対象のタイプに分けて説明します。

1. リホストと移行

メインフレームの業務システムをオープン環境に移行する方法には、以下の2つの方法があります。

  • ビッグバン(Big-Bang)

    既存の業務システムを分析した後、オープン環境に合わせて再設計および再開発する方法です。

  • リホスト(Rehosting)

    リホスト・ソリューションを使用してメインフレームの業務システムをオープン環境でそのまま実行できる方法です。

ビックバンは、膨大な工数を要する方法ですが、リホストは、ソリューションを使用して業務ロジックを移行できるため、少ない工数でオープン環境への移行を可能にします。

OpenFrameは、メインフレームで運用中の業務システムをオープン環境で運用できるようにする最も効率的なリホスト・ソリューションです。メインフレームのリソースをOpenFrameシステムに移行するプロセスをOpenFrameマイグレーションといいます。

2. マイグレーションのタイプ

OpenFrameによるマイグレーションは、大きく4つのタイプで分類します。各マイグレーションの詳細については、該当の章を参照してください。

OpenFrameマイグレーションは上記の4タイプに分類できますが、実際の作業ではタイプ別にマイグレーションが行われるのではなく、マイグレーションの対象業務と関連するリソース、データセット、データベース、アプリケーションの単位で同時にマイグレーションが行われます。

マイグレーションは以下の手順で行われます。

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マイグレーション・プロセス

本書では、日本語環境の富士通メインフレームのXSPまたはMSPとAIMシステムを、OpenFrame Batch for XSPまたはOpenFrame Batch for MSPとOpenFrame AIMシステムにマイグレーションする方法について説明します。以降からは、特に区分する必要がない限り、EBCDIC(JEF)文字コード体系はEBCDICに、ASCII(Shift-JIS)文字コード体系はASCIIに、富士通メインフレームはメインフレームに略して表記します

2.1. リソース・マイグレーション

リソース・マイグレーションは、メインフレーム環境の業務システムで使われているJCLやADLなどのリソースをOpenFrameで使用できるように移行する作業です。

富士通メインフレームの文字コードはEBCDIC(JEF)であるため、EBCDIC(JEF)で作成されたリソース・ファイルをOpenFrame環境で使用できるようにASCII(Shift-JIS)文字コードのリソースに変換します。

リソースは、OpenFrameシステムで使用されるすべての資産を意味します。ただし本書では、マイグレーションの単位であるデータセット、データベース、アプリケーション以外の単純なテキスト資産をリソースと総称します。なお、マイグレーション対象の資産をリソース(EBCDICテキスト)、データセット・リソース、データベース・リソース、アプリケーション・リソース・タイプに分類し、リソース・マイグレーション、データセット・マイグレーション、データベース・マイグレーション、アプリケーション・マイグレーションに区別して説明します。

リソース・マイグレーションは以下の手順で行われます。

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リソース・マイグレーション
  1. EBCDIC(JEF)文字コードで作成されたリソースをASCII(Shift-JIS)文字コードのリソースに変換します。

  2. OpenFrameで運用できるようにリソースをタイプ別にインポートします。

2.2. データセット・マイグレーション

データセット・マイグレーションは、メインフレームで使用しているデータセットをOpenFrameで使用できるように移行する作業です。メインフレームからダウンロードしたEBCDICデータ・ファイルを、データセットのレイアウト(フィールド構造)に合わせてOpenFrameで使用できるデータセットにマイグレーションします。フィールド・タイプによって、単純コピー、パック10進数(Packed-Decimal)またはゾーン10進数(Zoned-Decimal)の型変換、EBCDICからASCIIへの文字コード変換などが行われます。

データセット・マイグレーションは以下の手順で行われます。

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データセット・マイグレーション
  1. メインフレームでEBCDICで作成されたコピーブックやレイアウト情報(あるいは、データセットのスキーマ情報)をASCIIに変換します。

  2. 変換されたコピーブックやレイアウト情報を利用してデータセット・スキーマを作成します。

  3. EBCDICで作成されたメインフレームのデータセットをOpenFrameで使用できるようにASCII文字コード・ベースのデータセットに変換してインポートします。変換の際に、1、2項で作成したスキーマ情報が使用されます。

2.3. データベース・マイグレーション

AIM DBのデータベース・マイグレーションは、データベースのスキーマ情報を定義したADLリソースを変換した後、当該スキーマに従うデータベースのデータを変換し、OpenFrame環境のOpenFrame/NDBにインポートするプロセスで構成されます。

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データベース・マイグレーション
  1. メインフレームのEBCDIC ADLスキーマ・ファイルをASCIIに変換します。

  2. 1項で変換したADLスキーマ・ファイルを使用して、アンロード・データベース・ファイルをマイグレーションするためのスキーマ・ファイルを作成します。

  3. メインフレームからアンロードしたEBCDICで作成されたデータ・ファイルをASCII文字コードに変換します。この手順では、2項で作成したスキーマ情報を使用します。

  4. 1項で作成したスキーマ情報を使用して、OpenFrame NDBにデータベース・オブジェクトを作成します。

  5. 4項で作成したオブジェクトに、3項で変換したNDBデータベース・ファイルをインポートします。

  6. 5項で作成したデータを使って索引情報を作成します。

2.4. アプリケーション・マイグレーション

アプリケーション・マイグレーションは、メインフレームで開発されたアプリケーション・プログラムをOpenFrameで使用できるように移行する作業です。この作業には、メインフレームからダウンロードしたEBCDICで作成されたアプリケーション・プログラムのソースコードが必要です。

アプリケーション・マイグレーションは以下の手順で行われます。

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アプリケーション・マイグレーション
  1. EBCDICアプリケーション・ソースをASCIIアプリケーション・ソースに変換します。

  2. 変換されたASCIIアプリケーション・ソースをコンパイルして、ランタイム・オブジェクトを作成します。

  3. OpenFrameで運用できるようにデプロイします。

3. 移行プロセス

OpenFrameの移行プロセスは、分析と移行に分けられます。

  • 分析

    プロジェクト・コンサルタントによって行われます。

  • 移行

    メインフレームのリソースに応じて移行方法とツールが提供されます。詳細については、各章の内容を参照してください。