Tmaxエンジン
本章では、OpenFrame Baseシステムの構成要素であるTmaxエンジンについて紹介し、OpenFrameとの連携について説明します。
1. 概要
メインフレームは、最大数時間かかる可能性のある大規模なバッチジョブを処理するために設計されたシステムです。バッチジョブは、数秒から数分で処理されますが、一日に数千個の単位ジョブを実行しなければならないトランザクションを処理するにはメインフレーム・システムは適していません。
1960年代の末にIBMは、トランザクションを処理するためのシステムとしてIMSとCICS製品を開発しました。これらの製品は、TPモニターと呼ばれていますが、厳格に言えば、TPモニターはOSの一部ではなく、トランザクション・アプリケーションを管理するバッチ・アプリケーションです。
初期のTPモニターは、特定のデータベース・システムと組み合わせた製品が多く、1台のサーバーがトランザクションを処理していました。最近では、インターネットを介したオンライン・サービスの成長に伴い、トランザクションが激増しているため、現在は分散C/Sシステムに複数のプログラムを組み合わせて構成しています。
2. Tmaxの紹介
Tmaxは、分散環境システムで異種コンピュータ間のトランザクションを保証し、負荷を分散およびエラーを処理するTPモニター製品です。
以下は、Tmaxの特徴です。
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分散トランザクション処理の国際標準であるX/Open DTPに準拠します。
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国際標準化機構(OSI)のDTPサービスに対する機能的な分散と、構成要素間のAPIおよびシステム・インターフェースを定義します。
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分散環境での異種間の透明な業務処理およびOLTPをサポートします。
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トランザクション処理のACID特性を満たし、最適な開発環境を提供します。
3. OpenFrameとTmax
OpenFrameソリューションはTmaxエンジンをベースにしており、マルチ・ノード・クラスタリング、ロードバランシング、フェイルオーバーなどの機能を継承し、既存のメインフレームで提供していた高可用性および安定性を保証します。
以下は、Tmaxエンジンから継承された特性についての説明です。
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マルチ・ノード・クラスタリング
ドメインは、1つの同一環境を共有するTmaxシステムの構成単位であり、1つ以上のノードで構成することができます。また、ピアツーピア方式で接続されており、クライアントはドメイン内で提供されるすべてのサービスを使用することができます。
1台のメインフレームで運用していた業務を、複数のUNIXサーバーがクラスタリングされたOpenFrameシステムで処理できるため、大量の業務を安定的に運用することができます。
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ロードバランシング
Tmaxはクライアントのサービス要求が集中した場合、以下の3つの方法で負荷を分散し、最適なシステム・パフォーマンスとリソースの使用を保証できます。
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システム負荷管理(SLM: System Load Management)
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データ依存ルーティング(DDR: Data Dependent Routing)
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動的なロードバランシング(DLM: Dynamic Load Balancing)
Tmaxのロードバランシング機能により、複数のUNIXサーバーがクラスター化されたOpenFrameシステムで、各サーバーを効率的に活用することができます。
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フェイルオーバー
Tmaxのフェイルオーバー機能により、OpenFrameシステムの運用中に予期しない障害が発生した場合でも、ユーザーは障害を認識することなく、システムの使用を継続することができます。
Tmaxは以下のような障害対策を提供します。
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ハードウェア障害(ノードまたはネットワーク障害):サービス・バックアップによるフェイルオーバー
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ソフトウェア障害(プロセスのダウン):プロセスの再起動によるフェイルオーバー
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