初期化ツール

本章では、初期化ツールを使用してOpenFrameを初期化する方法について説明します。

1. 概要

以下は、OpenFrameの初期化ツールの一覧です。

ツール 説明

baseinit

OpenFrameを初めてインストールする際に必要なカタログ、VTOCシステム表を作成または削除します。

batchinit

OpenFrameを初めてインストールする際に必要なJESST、JOBQ、OUTPUTQの3つのシステム表を作成または削除します。

pdsgen

PDS(区分データセット)を作成したり、OpenFrameインストーラーでシステムに必要なPDSを作成します。

tacfinit

OpenFrameを初めてインストールする際に必要なグループ、サブグループ、ユーザー、パスワード、コネクション、クラス、データセット、リソース、パーミッションの表を作成または削除します。

volmgr

OpenFrameのボリュームを作成、変更、削除、および表示します。

2. baseinit

baseinitは、OpenFrameを初めてインストールする際に必要なカタログ、VTOCシステム表を作成または削除するためのツールです。

使用方法

以下は、baseinitツールの実行方法です。

Usage: baseinit <create|remove> [options]
  • 入力項目

    項目 説明

    create

    オプションとして指定された表を作成します。

    remove

    オプションとして指定された表を削除します。

  • [options]

    項目 説明

    [-t tablespace]

    指定した表を作成する表領域を指定します。

    TiberoとOracleでは必須ですが、MS SQLでは使用しないオプションです。

使用例

以下は、TiberoまたはOracle環境で、DEFVOLという表領域にカタログ、VTOCシステム表を作成および削除する例です。

$ baseinit create -t DEFVOL
$ baseinit remove -t DEFVOL

以下は、MS SQL環境で、カタログ、VTOCシステム表、ロック・システム表を作成および削除する例です。

$ baseinit create
$ baseinit remove

3. batchinit

batchinitは、OpenFrameを初めてインストールする際に必要なJESST、JOBQ、OUTPUTQの3つのシステム表を作成または削除するためのツールです。

使用方法

以下は、batchinitツールの実行方法です。

Usage: batchinit <create|remove> [options]
  • 入力項目

    項目 説明

    create

    オプションとして指定された表を作成します。

    remove

    オプションとして指定された表を削除します。

  • [options]

    項目 説明

    [-t tablespace]

    指定した表を作成する表領域を指定します。

    TiberoとOracleでは必須であり、MS SQLでは使用しないオプションです。

使用例

以下は、TiberoまたはOracle環境でDEFVOLという表領域にbatchinitを実行する例です。

$ batchinit create -t DEFVOL
$ batchinit remove -t DEFVOL

以下は、MS SQL環境でbatchinitを実行する例です。

$ batchinit create
$ batchinit remove

4. pdsgen

pdsgenは、PDS(区分データセット)を作成するか、OpenFrameインストーラーでシステムに必要なPDSを作成するツールです。PDSを作成する際、データセットのロックを行わないため、運用中の使用は避け、インストール時にのみ使用することを推奨します。

pdsgenによって作成されたPDSは、デフォルトでRECFM=FB、LRECL=80、BLKSIZE=4096の属性を持ちます。

使用方法

以下は、pdsgenツールの実行方法です。

Usage: pdsgen <dsname> <volser> [-f <recfm>] [-l <lrecl>]
  • 入力項目

    項目 説明

    <dsname>

    作成するPDS名を指定します。

    <volser>

    作成するPDSを保存するボリューム・シリアルを指定します。

    [-f <recfm>]

    作成するPDSのレコード形式を指定します。

    [-l <lrecl>]

    作成するPDSのレコード長を指定します。

使用例

以下は、TEST.PDSデータセットをボリューム100000に作成する例です。

$ pdsgen TEST.PDS 100000

上記を実行すると、以下のようなTEST.PDSファイルが作成されます。

  Data Set Name . . . : TEST.PDS
  Data Set Type . . . : NONVSAM
  Catalog Name  . . . : SYS1.MASTER.ICFCAT

  Management Class  . :
    Creation Date . . : 2019/08/24      Data Set Owner  . : ROOT
    Expiration Date . : ***None***

  Storage Class . . . :
    Volume Serial . . : 100000          Device Type . . . : 3380

  Data Class  . . . . :
    Organization  . . : PO              Record Format . . : FB
    KEYLEN  . . . . . : 0               Record Length . . : 80
    KEYPOS  . . . . . : 0               Block Size  . . . : 4096

  Current Allocation
    Primary Space . . : N.A.            Number of Extents : N.A.
    Secondary Space . : N.A.            Data Set Size . . : 0

  Last Access Date
    Last Access Date  : ***None***      Last Access Time  : **None**

5. tacfinit

tacfinitは、OpenFrameを初めてインストールする際に必要なグループ、サブグループ、ユーザー、パスワード、コネクション、クラス、データセット、リソース、パーミッションの表を作成または削除するためのツールです。グループ、ユーザー、クラス、コネクション表は、作成と同時に初期化情報の挿入も行われます。

使用方法

以下は、tacfinitツールの実行方法です。

Usage: tacfinit <create|remove> [options]
  • 入力項目

    項目 説明

    create

    オプションとして指定された表を作成します。

    remove

    オプションとして指定された表を削除します。

  • [options]

    項目 説明

    [-t tablespace]

    指定した表を作成する表領域を指定します。

    TiberoとOracleでは必須ですが、MS SQLでは使用しないオプションです。

使用例

以下は、TiberoまたはOracle環境でDEFVOLという表領域にtacfinitを実行する例です。

$ tacfinit create -t DEFVOL
$ tacfinit remove -t DEFVOL

以下は、MS SQL環境でtacfinitを実行する例です。

$ tacfinit create
$ tacfinit remove

6. volmgr

volmgrは、OpenFrameを初めてインストールまたは運用する際にボリューム、デバイスを作成、変更、削除、表示するツールです。

OpenFrame 7.1バージョンからは、volmgrツールを使用して既存のボリューム、デバイス、およびエソテリック(ESOTERIC)を統合管理します。エソテリックはデバイス・グループに名称が変更されました。また、オプションを指定することで、テープ・ボリュームを作成できます。

OpenFrameを初めてインストールする際は、ofruisvrを起動する前にボリュームを作成する必要があります。ofruisvrを起動せずに、-iオプションを使用してボリュームの作成、変更、削除を行います。初回設定後は、-iオプションなしでコマンドを実行します。

OpenFrameでボリュームを作成するには、データベースにボリューム名と同じ名前を持つ表領域が定義されている必要があります。ただし、テープ・ボリュームは表領域を定義せずに作成することができます。

使用方法

以下は、volmgrツールの実行方法です。

Usage: volmgr <command> <type> [options]
  • 入力項目

    項目 説明

    command

    • DEFINE : 新しいボリューム、デバイス、またはデバイス・グループを作成します。

    • DELETE : 指定したボリューム、デバイス、またはデバイス・グループを削除します。

    • UPDATE :指定したボリュームまたはデバイスを変更します。

    • LIST : ボリューム、デバイス、またはデバイス・グループを表示します。

    type

    • volume : ボリュームに対してコマンドを実行します。

    • device : デバイスに対してコマンドを実行します。

    • group : デバイス・グループに対してコマンドを実行します。

  • [options]

    以下は、command項目に指定したコマンドごとに使用できるオプションについての説明です。

    • DEFINE

      • ボリュームを作成する場合

        オプション 説明

        [-v volser]

        ボリューム名を指定します。

        [-p path]

        ボリューム・ディレクトリ・パスを指定します。

        [-dn device_number]

        デバイス番号を指定します。

        [-s spool]

        スプール・ボリュームの場合に使用します。

        [-t tape]

        物理テープ・ボリュームを作成する際に使用します。

        [-lv logical_volume]

        物理テープ・ボリュームを作成する場合に対応する論理テーブル・ボリュームを指定します。

        [-ts tablespace]

        接続する表領域名を指定します。

        [-i init]

        OpenFrameを初めてインストールする際に指定します。

      • デバイスを作成する場合

        オプション 説明

        [-dn device_number]

        デバイス番号を指定します。

        [-dt device_type]

        デバイス・タイプを指定します。

        • 3380 : DASDタイプのデバイスを作成する場合に指定します。

        • 3480 : テープ・タイプのデバイスを作成する場合に指定します。

        [-ms max_space]

        領域の最大値を指定します。

      • デバイス・グループを作成する場合

        オプション 説明

        [-dn device_number]

        デバイス番号を指定します。

        [-dg device_group]

        デバイス・グループを指定します。

    • DELETE

      • ボリュームを削除する場合

        オプション 説明

        [-v volser]

        削除するボリューム名を指定します。

        [-f force]

        使用中のボリュームも強制削除します。

        [-t tape]

        削除する物理テープ・ボリュームを指定します。

        [-i init]

        OpenFrameを初めてインストールする際に指定します。

      • デバイスを削除する場合

        オプション 説明

        [-dn device_number]

        削除するデバイス番号を指定します。

        [-f force]

        使用中のデバイスも強制削除します。

      • デバイス・グループを削除する場合

        オプション 説明

        [-dg device_group]

        削除するデバイス・グループを指定します。

        [-dn device_number]

        削除するデバイス番号を指定します。

    • UPDATE

      • ボリュームを変更する場合

        オプション 説明

        [-v volser]

        ボリューム名を指定します。

        [-p path]

        ボリューム・ディレクトリ・パスを指定します。

        [-dn device_number]

        デバイス番号を指定します。

        [-pv physical volume]

        論理テープ・ボリュームと関連付けられた物理テープ・ボリュームを変更します。

        [-ts tablespace]

        表領域を変更します。

        [-i init]

        OpenFrameを初めてインストールする際に指定します。

      • デバイスを変更する場合

        オプション 説明

        [-dn device_number]

        デバイス番号を指定します。

        [-dt device_type]

        デバイス・タイプを指定します。

        [-ms max_space]

        領域の最大値を指定します。

    • LIST

      • ボリュームを表示する場合

        オプション 説明

        [-v volser]

        ボリューム名を指定します。

        [-l]

        詳細情報を表示します。

        [-d]

        RAW形式で表示します。

        [-t]

        現在定義されている物理テープ・ボリュームの一覧を表示します。

      • デバイスを表示する場合

        オプション 説明

        [-dn device_number]

        デバイス番号を指定します。

      • デバイス・グループを表示する場合

        オプション 説明

        [-dg device_group]

        デバイス・グループを指定します。-dnオプションとは一緒に使用できません。

        [-dn device_number]

        デバイス番号を指定します。-dgオプションとは一緒に使用できません。

使用例

以下は、SYSDAデバイス・グループの0001番デバイスに属するボリュームDEFVOLを作成する例です。

$ volmgr define device -dn 0001 -dt 3380 -ms 2048
$ volmgr define group -dn 0001 -dg SYSDA
$ volmgr define volume -v DEFVOL -dn 0001

volmgr version 7.1.0(10) tmax@tgumdev:oframe_7_1_src/base(#1) 2019-10-21 10:16:42
*** Volume Manager ***
COMPLETED SUCCESSFULLY!

以下は、上記を実行後、ボリュームが正常に生成された場合の例です。

$ volmgr list volume -v DEFVOL
volmgr version 7.1.0(10) tmax@tgumdev:oframe_7_1_src/base(#1) 2019-10-21 10:16:42
*** Volume Manager ***
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
  Volume        Total        Usage        Free        Tablespace    Volume Path
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
  DEFVOL |   VSAM       100(MB)     13.75(%)     88320(KB)        DEFVOL         ------
         |   NONVSAM    179(GB)     76.51(%)     43145(MB)        ------         /home/tmax/oframe_7_1/volume_DEFVOL
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
* Total 1 volume entries printed.

COMPLETED SUCCESSFULLY!

同じ方法でテープ・デバイスと論理テープ・ボリュームおよび物理テープ・ボリュームを以下のように定義します。物理テープ・ボリュームを作成した後、updateコマンドを使用して論理テープ・ボリュームと物理テープ・ボリュームを関連付けます。

$ volmgr define device -dn 0010 -dt 3480 -ms 2048
$ volmgr define group -dn 0010 -dg STAPE
$ volmgr define volume -v STAPE1 -dn 0010
$ volmgr define volume -v ST0001 -lv STAPE1 -t
$ volmgr update volume -v STAPE1 -pv ST0001 -t

以下は、ボリュームDEFVOLとデバイス0001を削除する例です。

$ volmgr delete volume -v DEFVOL
$ volmgr delete device -dn 0001

以下は、SYSDAデバイス・グループを削除する例です。

$ volmgr delete group -dg SYSDA

以下は、SYSDAデバイス・グループのデバイス0001を削除する例です。

$ volmgr delete group -dg SYSDA -dn 0001

以下は、ボリュームDEFVOLとデバイス0002を変更する例です。

$ volmgr update volume -v DEFVOL -dn 0003
$ volmgr update device -dn 0002 -dt 3380 -ms 2048 -dg SYSDA

以下は、STAPE1テープ・ボリュームと物理テープ・ボリュームST0002を関連付ける例です。

$ volmgr update volume -v STAPE1 -pv ST0002

以下は、ボリュームの一覧を表示する例です。

$ volmgr list volume

以下は、上記の実行結果です。

$ volmgr list volume
volmgr version 7.1.0(10) tmax@tgumdev:oframe_7_1_src/base(#1) 2019-10-21 10:16:42
*** Volume Manager ***
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
  Volume        Total        Usage        Free        Tablespace    Volume Path
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
  DEFVOL |   VSAM       100(MB)     13.75(%)     88320(KB)        DEFVOL         ------
         |   NONVSAM    179(GB)     76.51(%)     43145(MB)        ------         /home/tmax/oframe_7_1/volume_DEFVOL
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
* Total 1 volume entries printed.

COMPLETED SUCCESSFULLY!

以下は、物理テープ・ボリュームの一覧を表示する例です。

$ volmgr list volume -t

以下は、上記の実行結果です。ボリューム名の前のアスタリスク(*)表示は、その物理テープ・ボリュームが論理テープ・ボリュームと関連付けられていることを示します。

$ volmgr list volume -t
volmgr version 7.1.0(10) tmax@tgumdev:oframe_7_1_src/base(#1) 2019-10-21 10:16:42
*** Volume Manager ***
------------------------------------------------------------------------------------
  Volume        Linked Volume   Volume Path
------------------------------------------------------------------------------------
  NVOL00 |      STAPE1          /home/arena/oframe_71_fix3/volume_NVOL00
------------------------------------------------------------------------------------
 *ST0001 |      STAPE1          /home/arena/oframe_71_fix3/volume_ST0001
------------------------------------------------------------------------------------
 *ST0002 |      STAPE3          /home/arena/oframe_71_fix3/volume_ST0002
------------------------------------------------------------------------------------
  ST0003 |      STAPE3          /home/arena/oframe_71_fix3/volume_ST0003
------------------------------------------------------------------------------------
* Total 4 volume entries printed.

以下は、デバイス情報を表示する例です。

$ volmgr list device

以下は、上記の実行結果です。

volmgr list device
volmgr version 7.1.0(10) tmax@tgumdev:oframe_7_1_src/base(#1) 2019-10-21 10:16:42
*** Volume Manager ***
-------------------------------------------------------------------------------------------
  Device Number   |    Device Type        Volume        Space Limit
-------------------------------------------------------------------------------------------
  0001            |    3380               3000          4096
-------------------------------------------------------------------------------------------
  0002            |    3380               DEFVOL        2048
-------------------------------------------------------------------------------------------
  0005            |    3380               4000          4096
-------------------------------------------------------------------------------------------

以下は、デバイス・グループ情報を表示する例です。

$ volmgr list group

以下は、上記の実行結果です。

volmgr list device
volmgr version 7.1.0(3) tmax@tgumdev:oframe_7_1_src/base(#1) 2019-10-21 10:16:42
*** Volume Manager ***
-------------------------------------------------------------------------------------------
  Device Group    |    Device Number        Device Type        Volume        Space Limit
-------------------------------------------------------------------------------------------
  SYSBB           |    0005                 3380               3000          4096
-------------------------------------------------------------------------------------------
  SYSDA           |    0001                 3380               DEFVOL        2048
                  | -----------------------------------------------------------------------
                  |    0002                 3380               4000          4096
-------------------------------------------------------------------------------------------