インストール前の準備
本章では、OpenFrame Baseをインストールする前に必要なハードディスク容量の確認とインストール・プロパティ・ファイルの作成について説明します。
1. 概要
OpenFrame Base(以下、Base)をインストールする前に必要な準備は以下のとおりです。
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システム要件の確認
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ディスク容量の確認
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インストール・プロパティ・ファイルの作成
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表領域の作成
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UNIX ODBCの環境設定
2. システム要件の確認
Baseをインストールするためのシステム要件は以下のとおりです。
要求事項 | |
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プラットフォーム |
Linux x86 7.0以上(32bit、64bit) |
Linux i686 7.0以上(32bit、64bit) |
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ハードウェア |
20GB以上のディスク空き容量 |
8GB以上のメモリ容量 |
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データベース |
Tibero 6 FS07 |
コンパイラー |
NET-COBOLコンパイラー |
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3. パッケージのインストール
各パッケージは、次に示すバージョン以上のパッケージがインストールされていることをお勧めします。各OSおよびバージョンごとにパッケージ名またはバージョンが異なる場合があります。
パッケージ | バージョン |
---|---|
unixODBC |
2.3.7 |
libpam-devel |
1.4.0 |
libncurses |
5.7.4 |
gcc |
4 |
libcurl |
7.29.0 |
4. ディスク容量の確認
Baseをインストールする前に、UNIXシステムのディスクの空き容量を確認します。Baseをインストールするには、200MB以上の空き容量が必要です。ハードウェア要件の詳細については、システム要件の確認を参照してください。
UNIXシステムでハードウェアの空き容量を確認するには、UNIXプロンプトでdfコマンドを実行します。
以下は、Linux x86オペレーティング・システムでdfコマンドを実行し、インストールするディレクトリのディスク容量を確認する例です。出力結果で容量を読みやすい単位で表示するために、–hオプションを使用しています。
$ df -h /home/oframe
以下は、実行結果です。
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on /dev/mapper/centos_oflinux64-home 144G 49G 96G 34% /home
上記例から、/home/oframeディレクトリは /dev/mapper/centos_oflinux64-homeディスクに属しており、ディスク全体の容量は144GB、使用済みの容量は49GB、使用可能容量は96GBで、全体の34%を使用していることが確認できます。
5. インストール・プロパティ・ファイルの作成
Baseは、インストール・プロパティ・ファイルに値を設定し、インストール・スクリプトを実行してインストールを行います。つまり、Baseをインストールするための属性を一つのファイルとして作成してインストーラーを実行すると、プロパティ・ファイルに作成された設定を読み込んで、その設定に従ってインストールを行います。
本節では、Baseのインストール・プロパティ・ファイルに作成する項目について説明します。インストール・プロパティ・ファイルの使用例は、インストール・プロパティ・ファイルの例を参照してください。
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5.1. OpenFrameディレクトリの設定
Baseがインストールされるディレクトリを設定します。OpenFrame製品がインストールされる絶対パスを入力します。設定されたディレクトリは、すべての設定ファイルでOpenFrameのホーム・ディレクトリとして使用され、Baseを基盤とする他のOpenFrame製品群も、同ディレクトリにインストールされる必要があります。
以下は、OpenFrameのホーム・ディレクトリを設定する方法です。
OPENFRAME_HOME=<path>
項目 | 説明 |
---|---|
OPENFRAME_HOME |
UNIXのディレクトリまたはファイル・パスを指定します。 |
以下は、OpenFrameのホーム・ディレクトリを /home/oframe/OpenFrame に設定する例です。
OPENFRAME_HOME=/home/oframe/OpenFrame
5.2. Tmaxの設定
OpenFrameエンジンに含まれているTmaxの環境設定項目です。
TP_HOST_NAME=<name> TP_HOST_IP=<ip> TP_SHMKEY=<key> TP_TPORTNO=<port> TP_UNBLOCK_PORT=<port> TP_NODE_NAME=<node_name> TP_NODE_LIST=<node_list> TCACHE_SHMKEY=<key>
項目 | 説明 |
---|---|
TP_HOST_NAME |
OpenFrameをインストールするコンピューターのホスト名は、数字(0~9)、英字(A~Z、a~z)、特殊文字(@、#、$、-)を組み合わせた文字列で指定します。 |
TP_HOST_IP |
OpenFrameをインストールするコンピューターのIPアドレスを10進数で設定します。 |
TP_SHMKEY |
Tmaxで使用する共有メモリ・キーを10進数、または0xで始まる16進数で設定します。 |
TP_TPORTNO |
Tmaxで使用するデフォルト・ポート番号を10進数で設定します。 |
TP_UNBLOCK_PORT |
Tmaxで使用するUnblockポート番号を10進数で設定します。 |
TP_NODE_NAME |
OpenFrameおよびTmaxで使用される現行サーバーのノード名を指定します。数字(0~9)、英字(A~Z、a~z)、特殊文字(@、#、$、-)を組み合わせた文字列を使用できます。 |
TP_NODE_LIST |
OpenFrameシステムを構成するすべてのノード一覧を設定します。各ノード名は、セミコロンで区切ります。
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TCACHE_SHMKEY |
OpenFrameの環境設定値が管理されるTmax TCache共有メモリ・キーを10進数または0xで始まる16進数で設定します。 |
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以下は、Tmaxの環境設定の例です。
TP_HOST_NAME=ofLinux64 TP_HOST_IP=192.168.105.61 TP_SHMKEY=52878 TP_TPORTNO=8989 TP_UNBLOCK_PORT=8199 TP_NODE_NAME=NODE1 TP_NODE_LIST=NODE1 TCACHE_SHMKEY=39101
5.3. ストレージ・デバイスの設定
OpenFrameで使用されるカタログ、ボリュームおよびデータセットなどの環境変数を設定します。
MASCAT_NAME=<dataset> MASCAT_CREATE=YES|NO DEFAULT_VOLSER=<volume> VOLADD_DEFINE=YES|NO ODBC_USERNAME=<name> ODBC_PASSWORD=<password> ODBC_DATABASE=<name> TSAM_DBTYPE=TIBERO DATASET_SHMKEY=<key> TSAM_INCLUDE1= <path> TSAM_INCLUDE2= <path> TSAM_INCLUDE3= <path>
項目 | 説明 |
---|---|
MASCAT_NAME |
OpenFrameのマスター・カタログとして使用するデータセット名を設定します。 |
MASCAT_CREATE |
インストール中にマスター・カタログを自動作成するかどうかを設定します。
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DEFAULT_VOLSER |
OpenFrameのデフォルト・ボリュームとして使用するボリューム名を設定します。 |
VOLADD_DEFINE |
インストール中にデフォルト・ボリュームを自動作成するかどうかを選択します。
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ODBC_USERNAME |
ODBCを使用してデータベースに接続するユーザー・アカウントを設定します。 使用しているデータベースのユーザー・アカウントを入力します。数字(0~9)、英字(A~Z、a~z)、特殊文字(@、#、$、-)を組み合わせた文字列で指定します。 |
ODBC_PASSWORD |
ODBCを使用してデータベースに接続するユーザーのパスワードを設定します。 |
ODBC_DATABASE |
接続するデータベース名を設定します。 |
TSAM_DBTYPE |
TSAMに使用されるデータベースのタイプを設定します。
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DATASET_SHMKEY |
データセットの割り当て情報を管理するための共有メモリ・キーを10進数で設定します。 |
TSAM_INCLUDE1 TSAM_INCLUDE2 TSAM_INCLUDE3 |
TSAMのプリコンパイルに使用されるシステム・コンパイル・ヘッダーのパスを設定します。 |
以下は、ストレージ・デバイスの環境設定の例です。
MASCAT_NAME=SYS1.MASTER.ICFCAT MASCAT_CREATE=YES DEFAULT_VOLSER=DEFVOL VOLADD_DEFINE=YES ODBC_USERNAME=tibero ODBC_PASSWORD=tmax ODBC_DATABASE=oframe TSAM_DBTYPE=TIBERO DATASET_SHMKEY=50382 TSAM_INCLUDE1=/usr/include TSAM_INCLUDE2=/usr/local/include TSAM_INCLUDE3=/usr/lib/gcc/x86_64-redhat-linux/11/include
5.4. コンパイラーの設定
OpenFrameで使用されるCOBOLコンパイラー製品を設定します。インストーラーは、設定した製品に対応するライブラリを使用できるようにリンクを設定します。インストール後には、リンクのみ変更して使用できます。
COBOL_COMPILER=MFCOBOL|OFCOBOL|NETCOBOL|DUMMY
項目 | 説明 |
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COBOL_COMPILER |
インストール時にデフォルトで使用されるCOBOLコンパイラー製品を指定します。
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以下は、コンパイラー製品としてOFCOBOLを指定する例です。
COBOL_COMPILER=OFCOBOL
5.5. OpenFrameの設定
OpenFrameシステムで使用するタイプを指定します。
BATCH_OS_TYPE = <MVS|MSP|XSP> CPM_PATH=Default CPM type <EBCASCUS|EBCASCJP|JEFASCK(MSP/XSP)>
項目 | 説明 |
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BATCH_OS_TYPE |
OpenFrame BatchシステムでJCLを実行する際、互換性のあるOSを指定します。指定しない場合は、デフォルト値のMVSが指定されます。 |
CPM_PATH |
OpenFrameのdsviewとspfeditツールで2バイト文字セットを変換するためにデフォルトとして使用するCPMタイプを指定します。 指定しない場合は、LANG環境変数に応じて以下のように指定されます。
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以下は、CPMタイプをEBCASCKR.cpmに指定した例です。
BATCH_OS_TYPE=XSP CPM_PATH=EBCASCKR.cpm
5.6. ライセンスの設定
OpenFrameを実行するには、ライセンス・ファイルを取得して指定のディレクトリにコピーする必要があります。インストーラーを実行する前に、取得したライセンス・ファイルを指定のディレクトリにコピーすると、インストーラーによって指定のライセンス・ディレクトリに自動的にコピーされます。ただし、このディレクトリは、ライセンス・ファイルの最終ディレクトリではありません。
OPENFRAME_LICENSE_PATH=<path> TMAX_LICENSE_PATH=<path>
項目 | 説明 |
---|---|
OPENFRAME_LICENSE _PATH |
取得したOpenFrameライセンス・ファイルが存在する絶対パスを指定します。 OpenFrameライセンスは、インストールする製品ごとに複数のファイルで構成されています。ここで設定したディレクトリのライセンス・ファイルは、${OPENFRAME_HOME}/licenseディレクトリにコピーされます。 |
TMAX_LICENSE_PATH |
OpenFrameのTmaxライセンス・ファイルが存在する絶対パスを指定します。 設定されたディレクトリのライセンス・ファイルは、${OPENFRAME_HOME}/licenseディレクトリにコピーされます。 |
以下は、ライセンス・ファイルが存在する絶対パスを指定した例です。
OPENFRAME_LICENSE_PATH=/home/oframe/licenses/OPENFRAME TMAX_LICENSE_PATH=/home/oframe/licenses/TMAX
OpenFrameでライセンスを発行するモジュールは、Base、Batch、TACF、OSC、OSI、HiDB、AIMです。 |
6. 表領域の作成
データベースのデフォルト・ボリュームとして使用する表領域を作成します。
以下は、Tiberoを使用して表領域を作成する例です。OpenFrameでデフォルト・ボリュームとして使用する300MBのDEFVOLという表領域を作成します。
SQL> CREATE TABLESPACE "DEFVOL" DATAFILE 'DEFVOL.dbf' SIZE 300M AUTOEXTEND ON;
以下は、システム・データを管理できる300MBのOFM_REPOSITORYという表領域を作成する例です。
SQL> CREATE TABLESPACE "OFM_REPOSITORY" DATAFILE 'OFM_REPOSITORY.dbf' SIZE 300M AUTOEXTEND ON;
7. UNIX ODBCの環境設定
BaseではDBMS_LOCKパッケージを使用するため、UNIX用のODBCドライバーと連携する必要があります。
以下は、UNIX ODBCマネージャーのインストールおよびドライバーの連携についての説明です。
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http://www.unixodbc.orgに接続します。表示された画面の左側にある[Download]タブをクリックして圧縮ファイルをダウンロードし、UNIX ODBCマネージャーをインストールします。
以下は、UNIX ODBCマネージャーをインストールする例です。
$ tar -zxvf unixODBC-2.3.4.tar.gz $ cd unixODBC-2.3.4 $ ./configure --prefix=/home/oframe/unixODBC --sysconfdir=/home/oframe/unixODBC/etc $ make $ make install
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UNIX ODBCは基本的に /usr/local にインストールされますが、環境設定の際にprefixオプションを使用してインストール・パスを変更することができます。
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環境設定ファイルは基本的に /etc にインストールされますが、環境設定の際にsysconfdirオプションを使用して環境設定ファイルのパスを変更することができます。
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ユーザー・アカウントの環境変数にUNIX ODBC関連の変数を追加します。
以下は、環境変数を追加する例です。
export ODBC_HOME=$HOME/unixODBC export PATH=$ODBC_HOME/bin:$PATH export LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:$ODBC_HOME/lib export LD_LIBRARY_PATH_64=$LD_LIBRARY_PATH_64:$ODBC_HOME/lib export ODBCINI=$HOME/unixODBC/etc/odbc.ini export ODBCSYSINI=$HOME
項目 説明 ODBCINI
デフォルトのパス(/etc)ではなく、別のパスにあるodbc.iniを使用する場合に設定します。
ODBCSYSINI
デフォルトのパス(/etc)ではなく、別のパスにあるodbcinst.iniを使用する場合に設定します。
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UNIX ODBCの設定ファイル(odbc.ini、odbcinst.ini)を作成します。
odbc.iniはODBCドライバーの接続情報を記録する設定ファイルであり、odbcinst.iniはODBCドライバーが定義されているファイルです。odbc.iniのドライバーは、odbcinst.iniで使用するセクション名と同じ名前で作成する必要があり、odbc.iniの[ODBC_datasource_name]セクションは、DSN名と同じ名前で作成します。
[ODBC_datasource_name] Description = description_of_data_source Driver = driver_name DSN = ODBC_datasource_name attribute1 = value attribute2 = value . . attribute(n-1) = value attributen = value
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odbc.ini
以下は、MS SQLとTiberoベースのodbc.iniの作成例です。
[MSSQLSERVER] Description = MSSQL Server 2014 DSN Driver = ODBC Driver 11 for SQL Server DSN = MSSQLSERVER Server = 192.168.37.44 Port = 1433 UserID = tibero Password = tmax MARS_Connection = Yes [TIBEROSERVER] Description = Tibero ODBC driver for Tibero5 Driver = Tibero DSN = TIBEROSERVER SID = oframe User = tibero Password = tmax
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odbcinst.ini
以下は、MS SQLとTiberoベースのodbcinst.iniの作成例です。
[ODBC Driver 11 for SQL Server] Description=Microsoft ODBC Driver 11 for SQL Server Driver=/opt/microsoft/msodbcsql/lib64/libmsodbcsql-11.0.so.2270.0 Threading=1 UsageCount=1 [Tibero] Description = Tibero ODBC driver for Tibero6 Driver = /home/oframe/tibero6/client/lib/libtbodbc.so Setup = FileUsage = CPTimeout = CPReuse = Driver Logging = 7 [ODBC] Trace = NO TraceFile = /home/oframe/odbc.log ForceTrace = Yes Pooling = No DEBUG = 1
MS SQLドライバーの場合、インストールされたmsodbcsql/lib64のlibmsodbcsql.soを指定し、Tiberoドライバーの場合は、TB_HOMEのclient/libのlibtbodbc.soを指定します。各データベースのセクション名は、odbc.iniで使用するドライバー名と同じ名前で作成します。[ODBC]セクションにはODBCのログ設定を行います。Trace項目をYESに設定すると、TraceFile項目に指定したパスにログを記録します。
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UNIX ODBCのバージョンと設定ファイルを確認します。
odbcinst -jを実行すると、「DRIVERS」項目と「SYSTEM DATA SOURCES」項目にodbc.iniとodbcinst.iniファイルを参照するパスが表示されます。
$ odbcinst -j unixODBC 2.3.2 DRIVERS............: /home/oframe/odbcinst.ini SYSTEM DATA SOURCES: /home/oframe/unixODBC/etc/odbc.ini FILE DATA SOURCES..: /home/oframe/ODBCDataSources USER DATA SOURCES..: /home/oframe/odbc.ini SQLULEN Size.......: 8 SQLLEN Size........: 8 SQLSETPOSIROW Size.: 8
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UNIX ODBCドライバーの連携テストを行います。odbc.iniファイルとodbcinst.iniファイルを設定し、isqlを使ってODBCでデータベースに接続します。
isql [DSN_NAME] [db_username] [db_password]
以下は、isqlを使用してデータベースに接続する例です。
$ isql oframe tibero tmax +---------------------------------------+ | Connected! | | | | sql-statement | | help [tablename] | | quit | | | +---------------------------------------+ SQL>
データベースへの接続が正常に行われると、上記のような接続プロンプトが表示されます。