CICSリソース・コントロール表

旧バージョンのCICSで使用されるDCTマクロとJCTマクロについて説明します。

1. DCTマクロ(DFHDCT)

マクロの基本的な構文は以下のとおりです。

DFHDCT TYPE=type[,keywords…]

DCTマクロのタイプには、GROUP、FINAL、INITIAL、SDSCI、EXTRA、INDIRECT、INTRA、REMOTEの8つがあります。このうち、EXTRA、INDIRECT、INTRAは、oscdct2rdツールによって変換されるときに、TDQUEUEリソース定義のTYPE属性として使用されます。

以下では、各タイプで定義できるキーワードについて説明します。

1.1. GROUP

oscdct2rdツールを使用してDCTをTDQUEUEリソース定義に変換するときに適用するグループを指定することができます。あるGROUP定義と次のGROUP定義の間に定義されたすべてのTDQは、変換の際に前の方のGROUP定義のグループ名で設定されます。

  • 使用方法

    DFHDCT TYPE=GROUP,
           GROUP=group_name
    項目 説明

    GROUP

    最大8バイトのグループ名を指定します。

    変換時にGROUP属性として使用されます。

1.2. FINAL

DCTマクロの終了位置を示します。oscdct2rdツールでは使用されません。

1.3. INITIAL

DCTマクロの開始位置を示します。oscdct2rdツールを使用した変換時に、USERIDを除いた他の属性は使用されません。

  • 使用方法

    DFHDCT TYPE=INITIAL,
           USERID=name
    項目 説明

    USERID

    最大8バイトのユーザーIDを指定します。

    当該DCTに属しているパーティション内TDQのうち、ATI機能のUSERIDが指定されていない場合は、変換時にUSERID項目のデフォルト値として使用されます。

1.4. SDSCI

パーティション外TDQのためのDCB(Data Control Block)を定義します。DSCNAMEは必須項目です。テーブルにない項目は変換時に無視される属性です。

  • 使用方法

    DFHDCT TYPE=SDSCI,
           BLKSIZE=number,
           DSCNAME=name ,
           RECFORM={FIXUNB|FIXUNBA|FIXUNBM|FIXBLK|FIXBLKA|FIXBLKM|VARBLK|
                    VARBLKA|VARBLKM|VARUNB|VARUNBA|VARUNBM},
           RECSIZE=number
    項目 説明

    BLKSIZE

    データセットのブロック・サイズの最大値を指定します。変換時にEXTRA TDQUEUEリソース定義のBLOCKSIZE値として使用されます。

    DSCNAME

    最大8バイトのSDSCIの名前を指定します。パーティション外TDQのDSCNAMEを参照します。

    RECFORM

    パーティション外TDQのレコード形式を指定します。

    変換時に、EXTRA TDQUEUEリソース定義のRECORDFORMAT、BLOCKFORMAT、PRINTCONTROL属性として使用されます。

    以下は、変換ルールです。

    • 最初の3バイトの「FIX」、「VAR」は、RECORDFORMAT属性のFIXEDまたはVARIABLEに変換されます。

    • その次の3バイトの「UNB」、「BLK」はBLOCKFORMAT属性のBLOCKEDまたはUNBLOCKEDに変換されます。

    • 7バイト目が「A」の場合はPRINTCONTROL属性のASAに、「M」の場合はPRINTCONTROL属性のMACHINEに変換され、7バイト目の値がない場合は、PRINTCONTROL属性に値が設定されません。

    RECSIZE

    レコードの長さを指定します。変換時にEXTRA TDQUEUEリソース定義のRECORDSIZE属性として使用されます。

1.5. EXTRA

パーティション外TDQを定義します。DESTIDとDSCNAMEは必須項目であり、EXTRAタイプを定義するときに必ず設定されている必要があります。テーブルにない項目は変換時に無視される属性です。

  • 使用方法

    DFHDCT TYPE=EXTRA,
           DESTID=name ,
           DSCNAME=name,
           RMTNAME=name,
           SYSIDNT=name
    項目 説明

    DESTID

    最大4バイトのパーティション外TDQの名前を指定します。

    DSCNAME

    当該パーティション外TDQからDCB情報関連の属性を取得するSDSCIのDSCNAMEを指定します。

    RMTNAME

    リモートTDQのリモート・リージョンでの名前を指定します。

    空白の場合はDESTIDと同じであるとみなされます。SYSIDNTが設定されている場合にのみ有効であり、そうでない場合は変換中に無視されます。

    変換時にTDQUEUEリソース定義のREMOTENAME属性として使用されます。

    SYSIDNT

    TDQを所有しているリモート・リージョンのSYSIDを指定します。

    この項目が設定されている場合は変換時にTYPE属性が設定されず、RMTNAMEとSYSIDNTを除いたすべての属性が無視されます。

    変換時にTDQUEUEリソース定義のREMOTESYSTEM属性として使用されます。

1.6. INDIRECT

間接TDQを定義します。すべての項目が必須項目です。

  • 使用方法

    DFHDCT TYPE=INDIRECT ,
           DESTID=name,
           INDDEST=name
    項目 説明

    DESTID

    最大4バイトの間接TDQの名前を指定します。

    INDDEST

    最大4バイトの間接的に指すTDQの名前を指定します。

    指定されるTDQのタイプは関係ありません。

    変換時にINDIRECT TDQUEUEリソース定義のINDIRECTNAME属性として使用されます。

1.7. INTRA

パーティション内TDQを定義します。DESTIDは必須項目です。テーブルにない項目は変換時に無視される属性です。

  • 使用方法

    DFHDCT TYPE=INTRA,
           DESTID= name,
           DESTFAC={(TERMINAL [,trmid])|FILE},
           DESTRCV={NO|PH|LG},
           RMTNAME=name,
           SYSIDNT=name,
           TRANSID=name,
           TRIGLEV=number,
           USERID=name
    項目 説明

    DESTID

    最大4バイトのパーティション内TDQの名前を指定します。

    DESTFAC

    TDQと連携される機能を指定します。trmidが与えられた場合は、FACILITYID属性として使用されます。

    変換時にINTRA TDQUEUEリソース定義のATIFACILITY属性として使用されます。

    DESTRCV

    エラーが発生した場合に復旧するかどうかを指定します。以下のように変換されます。

    • NO : NO

    • PH : PHYSICAL

    • LG : LOGICAL

    変換時にINTRA TDQUEUEリソース定義のRECOVSTATUS属性として使用されます。

    RMTNAME

    リモートTDQのリモート・リージョンでの名前を指定します。

    空白の場合はDESTIDと同じであるとみなされます。SYSIDNTが設定されている場合にのみ有効であり、そうでない場合は変換時に無視されます。

    変換時にTDQUEUEリソース定義のREMOTENAME属性として使用されます。

    SYSIDNT

    TDQを所有しているリモート・リージョンのSYSIDを指定します。

    この項目が設定されている場合は変換時にTYPE属性が設定されず、RMTNAME、SYSIDNTを除いたすべての属性が無視されます。

    変換時にTDQUEUEリソース定義のREMOTESYSTEM属性として使用されます。

    TRANSID

    ATIによって開始されるトランザクションのIDを指定します。

    変換時にINTRA TDQUEUEリソース定義のTRANSID属性として使用されます。

    TRIGLEV

    ATIを発生させるしきい値となるレコード数を指定します。

    変換時にINTRA TDQUEUEリソース定義のTRIGGERLEVEL属性として使用されます。

    USERID

    ATIによって開始されるトランザクションのセキュリティをチェックするユーザーIDを指定します。

    変換時にINTRA TDQUEUEリソース定義のUSERID属性として使用されます。

1.8. REMOTE

リモートTDQを定義します。REMOTEタイプは変換時にTYPE属性が設定されません。DESTIDとSYSIDNTは必須項目です。テーブルにない項目は変換時に無視される属性です。

  • 使用方法

    DFHDCT TYPE=REMOTE,
           DESTID=name,
           RMTNAME=name,
           SYSIDNT=name
    項目 説明

    DESTID

    最大4バイトのリモートTDQの名前を指定します。

    RMTNAME

    リモートTDQのリモート・リージョンでの名前を指定します。

    空白の場合はDESTIDと同じであるとみなされます。

    変換時にTDQUEUEリソース定義のREMOTENAME属性として使用されます。

    SYSIDNT

    TDQを所有しているリモート・リージョンのSYSIDを指定します。

    変換時にTDQUEUEリソース定義のREMOTESYSTEM属性として使用されます。

1.9. DCTマクロ・ファイルの例

以下は、DCTマクロ・ファイルの例です。

DFHDCT TYPE=INITIAL
         DFHDCT TYPE=SDSCI,DSCNAME=SDSCI01,                            X
                RECFORM=FIXUNB
         DFHDCT TYPE=EXTRA,DSCNAME=SDSCI01,                            X
                DESTID=EXTR
         DFHDCT TYPE=INTRA,DESTID=INTR,TRIGLEV=5,                      X
                DESTFAC=TERMINAL,TRANSID=AUTO
         DFHDCT TYPE=INDIRECT,DESTID=INDR,INDDEST=BETA
         DFHDCT TYPE=REMOTE,DESTID=REMT,RMTNAME=INDR,                  X
                SYSIDNT=CICA
         DFHDCT TYPE=FINAL
         END

以下は、変換されたTDQUEUEリソース定義です。

DEFINE  TDQUEUE(EXTR)
        GROUP(OSCGROUP)
        TYPE(EXTRA)
        RECORDFORMAT(FIXED)
        BLOCKFORMAT(UNBLOCKED)

DEFINE  TDQUEUE(INTR)
        GROUP(OSCGROUP)
        TYPE(INTRA)
        ATIFACILITY(TERMINAL)
        TRANSID(AUTO)
        TRIGGERLEVEL(5)

DEFINE  TDQUEUE(INDR)
        GROUP(OSCGROUP)
        TYPE(INDIRECT)
        INDIRECTNAME(BETA)

DEFINE  TDQUEUE(REMT)
        GROUP(OSCGROUP)
        REMOTENAME(INDR)
        REMOTESYSTEM(CICA)

2. JCTマクロ

旧バージョンのCICSで使用されるJCTマクロについて説明します。

以下は、マクロの基本的な構文です。

DFHDCT TYPE=type[,keywords…]

JCTマクロのタイプには、FINAL、INITIAL、ENTRYの3つがあります。

以下では、各タイプで定義できるキーワードについて説明します。

2.1. FINAL

JCTマクロの終了位置を示します。oscjct2rdツールでは使用されません。

2.2. INITIAL

JCTマクロの開始位置を示します。oscjct2rdツールでは使用されません。

2.3. ENTRY

各ジャーナルのエントリを定義します。テーブルにない項目は変換時に無視される属性です。

oscjct2rdツールは、FORMATキーワードが設定された場合、JOURNALMODELリソース定義のTYPE属性をSMFに設定します。FORMATキーワードが設定されていない場合は、MVSに設定します。注意することとしては、TYPE属性がMVSに変換されたJCTのENTRYは、変換されたリソース定義ファイルでSTREAMNAME属性を直接設定する必要があることです。

  • 使用方法

    DFHDCT TYPE=ENTRY,
           JFILEID=name,
           FORMAT=SMF
    項目 説明

    JFILEID

    SYSTEM、または2~99の数字を指定します。

    変換時にJOURNALMODELリソース定義のJOURNALNAME属性として使用されます。

    FORMAT

    SMFデータセットにジャーナル・レコードを記録するかどうかを指定します。

    変換時にJOURNALMODELリソース定義のTYPE属性として使用されます。

2.4. JCTマクロ・ファイルの例

以下は、JCTマクロ・ファイルの例です。

DFHJCT TYPE=INITIAL
         DFHJCT TYPE=ENTRY,                                            X
                JFILEID=4,                                             X
                JTYPE=TAPE2,                                           X
                FORMAT=SMF,                                            X
                BUFSIZE=1500
         DFHJCT TYPE=FINAL
         END

以下は、変換されたJOURNALMODELリソース定義です。JOURNALMODELの値は、oscjct2rdツールが自動的に作成します。グループは、[–g]オプションを使用して指定します。

DEFINE  JOURNALMODEL(DFHJM04)
        GROUP(OSCGROUP)
        JOURNALNAME(DFHJ04)
        TYPE(SMF)