概要

本章では、OSCシステムのリソース定義と、リソース定義を管理するための基本概念であるグループとリストについて説明します。また、PLT(Program List Table)、XLT(Transaction List Table)などのリソース・コントロール表形式で管理されるリソースについて説明します。

1. リソース定義

OpenFrame OSC(以下、OSC)システムは、アプリケーション・プログラムがOSCシステムが提供する機能を使用し、IBM CICS Transaction Server(以下、CICS)上で実行されていたアプリケーション・プログラムをリホストするためのさまざまなリソースを提供します。

リソース定義(Resource Definition)には、OSCシステムが使用するリソースの種類と特徴、使用方法などの情報を記述します。OSCシステムの機能を使用するために、ユーザーはプログラム、トランザクションおよび端末などのシステム・リソースの情報を提供する必要があります。リソースによって設定項目が異なるので、使用するリソースの設定項目を運用環境に合わせて設定し、リソース定義を登録する必要があります。

ユーザーが提供するマクロ・スクリプト形式のリソース定義ファイルをoscsdgenツールを使用してOSC SD(OSC System Definition)テーブルに登録します。登録されたそれぞれのリソースは、OSCの起動時にRTSD(Runtime System Definition)テーブルにロードされます。

OSCアプリケーション・サーバーは、RTSDテーブルにロードされたリソース定義に従って運用されます。OSCが提供する関連ツールには、リソース定義をOSC SDテーブルに登録、バックアップするoscsdgenoscsddumpツールと、RTSDにロードされたリソースをバックアップ、変更するoscrtsddumposcrtsdupdateツールがあります。また、OpenFrame Manager[OSC]メニューにより、OSC SDテーブルとRTSDテーブルを管理することができます。

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リソース定義の登録および管理

OpenFrame Manager[OSC]メニューについては、OpenFrame Manager『ユーザーガイド』を参照してください。

  • OSC SDテーブル

    OSC SD(OSC System Definition)は、OSCシステムが使用するリソース定義を保存するテーブルです。oscsdgenツールを使用してリソース定義のマクロ・ファイルをOSC SDテーブルに保存するか、OpenFrame Manager[OSC]メニューを利用してGUIでリソース定義を登録します。

    運用環境によって、アプリケーション・サーバーごとに別々のOSC SDテーブルを使用したり、複数のアプリケーション・サーバーが1つのOSC SDテーブルを使用したりすることができます。OSC SDテーブルを共同で使用する場合は、各アプリケーション・サーバーが使用するリソースのグループとリストを別々に設定して、OSCが起動する際に該当するリソースのみをRTSDテーブルにロードすることができます。

OSC SDテーブルの詳細については、OpenFrame OSC『管理者ガイド』を参照してください。

  • RTSDテーブル

    OSC SDテーブルに登録されたリソース定義は、OSCシステムの起動時にRTSD(Runtime System Definition)テーブルにロードされます。アプリケーション・サーバーは、運用中にRTSDテーブルからリソース定義を参照し、OSC SDテーブルは直接参照しません。

    マルチノード・クラスタリング機能をサポートするためにRTSD情報をデータベース・テーブルで管理していますが、アップデートが頻繁に発生しないリソースは、TCacheを使用することでパフォーマンスの低下を最小限に抑えるように設計されています。

    RTSDデータは、OSCが提供するRTSDツールまたはOpenFrame Manager[OSC]メニューを利用して管理することができます。また、データの変更をアプリケーション・サーバーにリアルタイムで適用することができます。RTSDデータの変更はシステムに直接影響を及ぼすので管理者の注意が必要です。また、OSCの終了時にRTSDテーブルのリソース定義は削除されるため、リソース定義を永久的に適用するにはOSC SDテーブルのリソース定義を修正する必要があります。

2. グループとリスト

OSC SDテーブルに登録するリソース定義は、グループリストで構成されます。グループとリストはアプリケーション・サーバーがリソース定義を管理する単位です。OSCの運用目的に合わせて慎重にリソース定義を作成してください。

2.1. グループとリストの定義

グループは、リソースの管理を容易にするために関連性のあるリソースをまとめたものです。グループを定義せずにリソースをOSC SDテーブルに登録することはできません。グループに含めるリソースのリストは、ユーザーが自由に設定できます。同じ種類のリソースをまとめて1つのグループに定義したり、1つの業務で使用するリソースを1つのグループに定義することもできます。OSCシステム管理者は、リソース定義の管理を容易にするために、グループを適切に設定する必要があります。

リストは、OSCシステムの起動時にRTSDテーブルにロードするグループの集合です。OSCの運用に必要なリソース定義が属しているグループをリストに設定します。グループは必ずしもリストに属する必要はなく、独立して設定することもできます。

2.2. グループ/リストとリソースの関係

グループはリストのサブ項目であり、関連性のあるリソースの集合です。グループを作成するには、リソースを定義する際にGROUPオプションを使用します。オプションを使用せずにグループを直接作成する方法はありません。リストは、アプリケーション・サーバーがリソース定義を管理する単位です。目的に応じて複数のリストを作成することができ、グループは複数のリストに属することができます。

以下は、グループとリソースの関係を示した例です。DFHFILEというグループは、リソースOIVPFILEとTESTFILEの集合体です。それぞれのリソースはグループ単位で管理されます。

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リソースとグループの関係

以下は、DFHLIST、INITLIST、OSCLISTの3つのリストと各リストに含まれているグループの関係を示した例です。

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グループとリストの関係

左側はリストを基準に各リストに登録されているグループを表示したものであり、右側はグループを基準に各グループが登録されているリストを表示したものです。リソースとグループの関係と併せてリソース、グループ、リストの関係を見ると、上位のリストに複数のグループが登録されていて、グループに複数のリソースが登録されている階層構造であることが分かります。たとえば、OIVPFILEリソースの場合は、DFHLIST(リスト)-DFHFILE(グループ)-OIVPFILE(リソース)の階層構造を持ちます。

  1. DFHで始まるグループとリストはOSCが提供するものなので、グループとリストの名前を指定時に使用しないようにしてください。

  2. グループとリストは同じ名前を持つことができません。グループとリストの名前は重複しないように指定してください。

2.3. GRPLIST設定

アプリケーション・サーバーはOpenFrame環境設定のGRPLISTキー値を参照して、OSCの起動時にRTSDテーブルにリストをロードします。複数のリストを指定することができ、最大4個まで指定できます。各リストに設定されたグループに属するリソースが重複して登録された場合には、最後に登録されたリソースがRTSDテーブルにロードされます。なるべく重複しないように注意し、もし重複して登録した場合は、目的のリソースが順番にRTSDテーブルにロードされるようにグループとリストの順序を調整します。

GRPLIST設定の詳細については、OpenFrame OSC『環境設定ガイド』の「SD」を参照してください。

以下は、GRPLISTキーにDFHLIST、INITLIST、OSCLISTの順に3つのリストを設定した例です。

GRPLIST=DFHLIST,INITLIST,OSCLIST

以下は、上記のようにGRPLISTキー値を設定した場合にグループが構成される順序の例です。

  1. DFHLISTに属するグループの順序です。

    DFHFILE
    DFHTDQ
    DFHTSQ
    ...
  2. INITLISTに属するグループの順序です。

    OIVP
    INITFILE
    INITTDQ
  3. OSCLISTに属するグループの順序です。

    OIVP
    OSCFILE
  4. GRPLIST設定に基づくグループの順序です。OSCアプリケーション・サーバーが起動すると、DFHFILEに属するリソースからOSCFILEに属するリソースまで順番にRTSDテーブルにロードされます。

    DFHFILE
    DFHTDQ
    DFHTSQ
    ...
    OIVP
    INITFILE
    INITTDQ
    OIVP
    OSCFILE

GRPLIST設定を使用することで、アプリケーション・サーバーが使用するリソース定義を容易に管理することができます。たとえば、アプリケーション・サーバーが1つのOSC SDを使用し、サーバーごとにGRPLIST設定を行うと、そのグループに登録されたリソースを使用することができます。つまり、アプリケーション・サーバーごとにOSC SDテーブルにリソース定義を登録する必要がありません。また、1つのリストですべてのリソースを管理するのではなく、OSCの運用目的に合わせてリソースを分けて管理するため、メンテナンスも効率的に行えます。

3. リソース・コントロール表

リソース・コントロール表(Resource Control Table)は、CICSで使用していた一部リソースをコントロール表形式で記述したマクロ定義です。

ユーザーは、PLT(Program List Table)マクロおよびXLT(Transaction List Table)マクロの定義を記述できます。コンパイラーによってコンパイルされたマクロ定義を、OSCシステムがロードして固有の機能を提供します。OSCはPLTマクロをコンパイルできるoscpltcツールとXLTマクロをコンパイルできるoscxltcツールを提供します。

  • PLT

    PLT(Program List Table)はプログラムのリストを記述したテーブルであり、OSCリージョンの起動および終了の際に実行されるプログラムを指定するために使用します。各テーブルはサフィックス値で区別され、OpenFrame環境設定のosc.{servername}サブジェクト、GENERALセクションのPLTPIPLTSD項目にサフィックス値でテーブルを指定すると、起動および終了の際に使用されます。

  • XLT

    XLT(Transaction List Table)は論理的に関連付けられたトランザクションのリストを記述したテーブルです。XLTは、OSCリージョンを終了時にPLTプログラムの第一ステージの実行中に端末から発生する可能性のあるトランザクションのリストを指定するために使用します。各テーブルはサフィックス値で区別され、OpenFrame環境設定のosc.{servername}サブジェクト、GENERALセクションのXLT項目にサフィックス値を指定することができます。

リソース・コントロール表の詳細については、リソース・コントロール表を参照してください。